熟練した職人が1本1本縫い上げる、手作業によるピンタック[=ピンのように細いタック]は他に類を見ない完成度の高さを誇り、芸術的とまで称される私たちの象徴的なテクニックです。
海を越えて多くの人の手を通り作られるピンタックは、端正かつ緻密でありながら、立体的な凹凸が光を柔らかく受けとめて、あたたかな空気をまといます。
無地にはない華やかさと、その場に自然に馴染む佇まいを持ち、シーンも性別も年齢も選ばず、着る人の表情を優しく飾るピンタックシャツ。人の個性を際立たせつつ、身体に馴染んでいく過程を楽しめるのも魅力のひとつ。
タックの細さ、間隔、向きなどの変化で表現の幅は広く、1枚のシャツに施されるピンタックは400~600本。そのバリエーションの豊富さで生まれる面白さや新しさは服の表情を豊かにします。
元となる生地に様々なテストを繰り返し、色や加工の研究を経て、ピンタックに代表されるオリジナルの生地を開発。
独自の加工と染めで生じる素材の変化を計算したデザインとパターン技術は、45年以上積み上げた確かな経験の上に確立されています。
これら歴史に裏打ちされたテクニックと日々の研究を基に、自己表現のツールとして都会的でカジュアル、かつ洗練されたシャツへと昇華させていきます。
BLUE
青
「青(あお)」は、「抽象的で非物質的な領域を指している」とカンデンスキーが言っているように、谷川俊太郎も「どんなに深く憧れどんなに強く求めても青を手にすることはできない。すくえば海は淡く濁った塩水に変わり、近づけば空はどこまでも透き通る」と言っています。
非物質を意味すると同時に、人においては感情をも表現する奥深い色。
青い地球に住んでいる私たちはまだまだ青という色を学び続けています。
この壮大な色のもとに、性別や年齢の区別はありません。
日本では藍が染まっていく段階の青に多くの名がつき、自然への敬いと親しみを持って色彩を楽しんできたことがうかがい知れます。
私たちの持つ技術、製品染めであれば、どの青にでもトライすることができる、
一つの「青」というキーワードを大切に、薄い、浅い、淡い、濃い、鮮やかな青の表現をしていきたいと思います。
縫いあがった商品を染める製品染めによって、色の中にも機微を生み出す独自の表現を追求します。染料の僅かな調整で染め上がりが変化するため、研究と発見を繰り返しながらイメージを磨いていく、奥が深い工程。
その表現の広さから、選ぶ人の好みにあった色を見つけられることも製品染めの魅力。
染色は排水設備を整えた自社の工場で行い、常に環境汚染への対策を徹底しています。
シャツ
SHIRTS
性別にとらわれないシャツというアイテムの持つ力
私たちは小さいけれど 平等な、独立した、名前のない存在であり
宇宙という存在のごく一部から作られた、形のない、性別のない、非物質的な存在。
その存在を彩るファッションは捉え方も多種多様である
ひとつの形がサイズ違いで個性を引き出し、存在を彩ってくれる
自分自身を何にもとらわれずに自由に表現したいという思いを持って技術、アイテム、色にこだわり続けていきたい。